以前「ループ音源を並べる行為は「作曲」と言えるのか?」の記事で、

・ループ音源を並べる行為は、ジクソーパズルを作る行為を「絵を描く」と言わないのと同様に、作曲とは言えない

・であれば作曲ではない別の言葉、例えば「並曲」と呼ぶべき

という主張をし、この考えに今も変わりはありません。ただし「作曲」であれ「並曲」であれ、「音楽を作って楽しむ」という意味では変わりないので、「並曲」という行為そのものを否定的に見ているわけではありません。私は絵も描きますが、ジグソーパズルだって楽しんでやります。問題にしているのは「ジグソーパズルを作る=絵を描く」ではないので、それぞれにその行為にふさわしい呼び方をすべきだ、ということです。

 ジグソーパズルをいくら作ったところで、肝心の絵を創作していない以上、「完成させた」以上の満足感は得られません。並曲も同じで、肝心のメロディを「作曲」していない以上、満足感は得られず、すぐに飽きてしまうでしょう。どちらにしてもしょせんは「他人の創作物のコピペ」でしかないからです。だからこそ、ジグソーパズルも並曲も「暇つぶしレベル」で終わってしまうのです。

 「作曲」と呼ぶからには、最低でも主旋律は自分で創作したものであるべきです。絵で言うなら最低でもデッサンの線は自分で引くべきです。私はそれがどんなに未熟なものであっても、その行為自体は大いに評価したいし、応援もしたいと思います。なぜなら、その行為には苦難と苦労が伴うし、その人はそれらから逃げずに挑戦しているからです。一方で「並曲」した曲を「作曲」と称してドヤっている人には何の魅力も、何の興味も湧きません。そうだ!「並曲」も良い言葉すぎますね。では「コピペ曲」ならいかがでしょうか? そうすれば「名は体を表す」し、「実態にもっとも近い表現」になります。

 真剣に楽曲制作に取り組んでいる人にとって、単なる「コピペ曲」を「作曲」と称している現状はどうしても苛立ちを覚えてしまうし、そう感じている人も多いでしょう。GarageBandはその「コピペ曲」を作るのに最適かつ高性能なアプリであることも話を難しくしています。「ループ音源を並べて作った曲=コピペ曲」であるという認識が広く世間一般に広がれば、こういった(意図的なものも含む)誤解も少なくなるでしょう。ぜひ、一刻も早くそうなって欲しいし、コピペ曲で物足りなくなった結果、一人でも多くの楽曲制作者が「本当の」作曲に足を踏み入れてくれたらと願ってやみません。